人生の「苦」を越えた先に 〜ドラマ『コタキ兄弟と四苦八苦』〜

このドラマの主要な舞台の一つはレトロな香り漂う「喫茶シャバダバ」。写真は夏はほぼ毎日飲んでいる水出し煎茶。最近は高知県にある国友農園「いぐり山茶」を愛飲しています。

真面目過ぎる元塾講師の兄・古滝一路(古舘寛治)と、妻から家を追い出された専業主夫でちゃらんぽらんな弟・二路(滝藤賢一)。実家で共に暮らすことになった無職の中年兄弟が、あるきっかけで「レンタル兄弟おやじ」に登録。1時間1,000円で依頼人のさまざまな「頼み事」を受けるようになりますが…。

仏教の八苦=生老病死の四苦と、怨憎会苦(おんぞうえく)、五蘊盛苦(ごうんじょうく)、求不得苦(ぐふとくく)、愛別離苦(あいべつりく)の四苦、そこにさらに4つの苦を加えて合計12の苦にまつわるエピソードが綴られます。

ベースはコメディで、出演者たちの軽妙なやりとりが笑わせてくれますが、内容はなかなかシリアス。夫婦や親子、恋愛、仕事などにおける人間関係の難しさや、世間一般の「常識」を押しつけられる苦悩、自分らしく生きることの困難、病気や老い、死生観。人生は思い通りにいかない「ままならなさ」に満ちていますが、人の思いやりや優しさから生まれる希望もあることを、このドラマは教えてくれます。

Blu-rayBOXを購入したくらい好きな作品。人気脚本家・野木亜紀子さんがW主演の二人にあて書きしたオリジナル脚本を、映画監督・山下敦弘さんが全編演出。レギュラー出演者も、豪華なゲスト俳優たちも、味わい深い演技で見応え十分。1話ごとも、全編見終わっても、心が温かくなる傑作です。