勇気ある女たちの記録

たった一輪ですがベランダの鉢植えのバラが咲きました。昨年虫がついてほぼ枯れたので捨てようかと思いましたが、捨てなくて良かったです。

最近続けて読んだ本3冊が、偶然ですがどれも「勇気ある女たち」のノンフィクションでした。

モリー・ブルーム『モリーズ・ゲーム』は、アメリカ・ロサンゼルスとニューヨークで、高額な賭け金が動くポーカー・ゲームを運営して成功するものの、最後にはFBIに逮捕されたモリー・ブルームという実在の女性の回顧録です。映画化もされ、その作品が非常に面白かったので原作を読んでみました。モリーは元モーグルのトップアスリートでロー・スクールに進学できるほど成績も優秀。しかし彼女は、自分以上にスポーツでよい結果を出し、頭脳明晰な兄弟にコンプレックスを抱き、だれよりも尊敬する父親に「もっと認められたい」と渇望しながら成長します。ポーカーの世界で成功してもその思いは変わりません。

ポーカーの世界で彼女がのし上がれたのは、大金持ちでわがままなギャンブラーたちへの、ある意味で「女性らしい」細やかで行き届いた配慮にありました。しかし彼女の存在がギャンブルの世界で大きくなるにつれ、「女のくせに」という露骨な嫌がらせやセクハラが始まります。男たちは、彼女が自分の思い通りにならないことに不満と怒りを覚えます。「自分たちの領域」を脅かすことを許さないのです。

1980年代にアメリカに移住した著者の藤本和子さんが、多くの黒人女性たちと率直に語り合った記録である『塩を食う女たち―聞書・北米の黒人女性』には、女であり、黒人であるという立場がもたらす理不尽さと、屈することなく生き抜いていく精神の気高さ、力強さが描かれています。

島﨑今日子『森瑤子の帽子』は、1978年に38歳で主婦から人気作家になり、そのライフスタイルが女性たちの憧れとなった作家・森瑤子のさまざまな“顔”を、イギリス人の夫や3人の娘、親しかった編集者や作家たちの証言であぶりだしたものです。主婦で母である「だけ」に苛立ち、自身の実力で成功したものの、今度は名声と収入を維持するための過酷な作家活動と、「母と妻の役割を優先しろ」と要求する家族との軋轢に苦しむ。痛々しいまでに自分と周囲に真摯な姿に、胸を打たれました。

3冊とも非常に読み応えがあります。女という性を生きることを深く考えさせられるものでした。