「自分を許す」ことで救われる 〜映画『ドント・ウォーリー』〜

この作品を見た映画館の最寄りバス停の花です。

飲酒が原因の交通事故で四肢麻痺になり、車椅子生活になっても酒をやめられなかった男が、断酒会に入って酒を断ち、自分を見つめ直して、風刺漫画家として活躍するようになる半生を描いた作品。実在したアメリカの風刺漫画家ジョン・キャラハンの物語です。

 

ジョンの母は、出産後すぐに彼を手放したので、彼は実母のことを何も知りません。実母への愛憎、「捨てられた自分」への哀れみ、自分が無価値だという思いが彼を苦しめ続けます。事故後も酒を飲み続け、周囲と衝突し続ける彼は、まるで自分を罰しているようです。

 

断酒会に入っても、最初は自分の気持ちをさらけ出せなかったジョン。しかし周囲の人々が、彼を「かわいそう」と同情することなく、諦めずに粘り強く話し合い、対等に接し続けたことから、少しずつ変わっていきます。

 

最終的にジョンは、あれだけ激しく憎んでいた実母を思いやり、自分が傷つけた人たちに心から謝罪し、過去の自分を全て受け入れ、許せるようになります。その過程が丁寧に描かれており、まるでカウンセリングの実習を見ているようでした。

 

一番難しいのは、過ちを犯した、みっともないことをした、周囲を傷つけた自分自身を「認め、許す」ことなのだろうと、強く感じました。

 

ジョンを演じたホアキン・フェニックス他、役者陣も好演。ガス・ヴァン・サント監督の人を見つめる温かいまなざしが感じられる佳作です。

 

『ドント・ウォーリー』

http://www.dontworry-movie.com