「非言語的コミュニケーション」を考える 〜映画『クワイエット・プレイス』〜

『クワイエット・プレイス』の食卓シーンに登場する川魚料理から、かなり強引ですがこの夏に味わった「鮎飯」の写真をもってきました。湯気でぼけましてすみません。映画では鱒のような大きな魚の蒸し料理のようでした。

音をたてると“何か”に襲われ、

即座に殺されてしまう近未来で、

ある一家が生き残るために

“何か”と闘うホラー映画

『クワイエット・プレイス』。

 

一家は長女の耳が不自由ということもあり

手話で会話し、極力音を立てないように暮らします。

しかも母は出産を控えているという状況なので

緊迫感は否応にも高まり、

物語はラストまで疾走していきます。

闘いだけでなく家族愛も

丁寧に描かれています。

 

「会話がない」状態で展開するので、

登場人物のしぐさや表情により注目が注がれます。

観ているうちに思い出したのが

「非言語的コミュニケーション」という言葉。

 

文字通り「言葉を使わない」

意思と感情の伝達方法。

身振りなどの「身体動作」、

人との距離など「空間行動」、

触れ合うなど「身体接触」、

話す速度や声の大きさなど

言語に付随する要素である

「準言語(パラ・ランゲージ)」の

4種類を心理の講座で学びました。

 

「非言語的コミュニケーション」の

大きな特徴の一つに

「無意識でなされる」ということがあります。

例えば「何を話すか」は頭で考え、

言葉を選び、相手に伝わるよう

自分で意識して実行できますが、

「どう話すか・話しているか」は、

知らず知らずのうちに=無意識に

表出していることが多いのです。

「無意識のコミュニケーション」が、

その人の印象だけでなく、

「話の内容や言葉の信頼性」をも

左右する場合があります。

 

『クワイエット・プレイス』で長女を演じるのは、

実際に聴覚障がいのある若い女優さんです。

道にまき散らした白い砂の上を

すたすたと歩くその姿だけで、

「父に認められていない」という

思い込みからくる苦しみ、

弟が“何か”に襲われたことへの自責、

解決の糸口が見えない状況への苛立ち、

「家族の役に立てない自分」への怒りと、

全ての感情を見事に表現しています。

 

「意識的に“無意識”を演じられる」ことが、

優れた役者の才能の一つなのかもしれません。

この作品に登場する数少ない役者も

視線だけで、口の端の上下だけで、

手つきや歩き方など動作だけで

十分に感情を伝えていることに感心しました。

役者それぞれの「非言語的コミュニケーション」を

じっくり観察するのにもぴったりの作品です。

 

 

『クワイエット・プレイス』

https://quietplace.jp